夕暮れに溶けていく
茜井ことは

たらいに水を張って
カーテンを沈めると
昨日の夕焼けが
染みだしてきた

わたしはそこに足を浸し
夕暮れが指先までゆきわたるのを
感じている

ため息ひとつ
だいだい色
真暗な部屋に
灯りをともす

ため息ひとつ
だいだい色
真青な心に
何をもたらす?

夕焼けに
喚起されたノスタルジアは
指先でうごめくが
シャープペンシルを
動かすほどには力を持たない

夕焼けと混ざり合う
わたしのノスタルジア
赤と青の葛藤するこころが
静かに胸を締めつけた




自由詩 夕暮れに溶けていく Copyright 茜井ことは 2014-04-11 12:41:53
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