後ろからくる崖
ふるる

あの大きな地震から三年たって
家を建て直した人の窓ガラスが悪意で割られるという現実
廃炉問題や生活再建や瓦礫処理はまだまだ続きその一方で
こちらの生活は元通り
スーパーで売っていないものはない

経済政策発表で湧く世間
湧かない個々
二つの現実が同時進行していて
乖離はどんどん進んでいる

バブル崩壊を忘れたかのように
オリンピック誘致決定で高まる地価
TPPやNISAはチャンスだと
テレビや新聞が言う

避難グッズをつい忘れて出かけるようになった
携帯と予備電源すらも
常に緊張しているのは困難
常に思いつめるのも

そして忘れたころに
再び何かが起こり
何かに襲われ
何かを失う
ほとんどの人が青ざめた顔になり
乖離は一時おさまる

その繰り返し

悲しみは乗り越える間もなく
踏みつけて進まれる

安全な場所にいた人々に
ならされた道を
悲しみに慣らされた人々は歩くしかない
道はそこにしかないから

その道は前よりも歩きづらい
前よりもアップダウンがきつい

前向きに!!

歩き続けなければ
後ろからくる崖に
全員が追いつかれてしまうのだ



自由詩 後ろからくる崖 Copyright ふるる 2014-04-01 12:21:29
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