一つの空席のために二つの椅子を用意して
末下りょう


向かい合わされた二つの椅子の一つに座る
誰かの温もりがまだ残された椅子に
浅く、前屈みに

向かい合わされたもう一つの椅子に
客人が座る
深く、めざめに
もたれ

客人の手の甲には何かが書かれているが
ここからは
読めない

積み重ねた接続詞のちりに息が詰まり
咳をする、約束を忘れた
約束のような
顔をして


すべての午後の相槌が客人に加担した午前になれば
ぼくは席を外す

一つの空席のために
言葉をまえに
ぼくらはなぜか、はしゃぐから







自由詩 一つの空席のために二つの椅子を用意して Copyright 末下りょう 2014-03-30 03:35:45
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