害虫
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夜の蜘蛛を生かして
償われた指腹のよどみに
吹き溜まる星々は研削され
なめらかな肩口を晒し合いながら
目まぐるしい渦中からの
放逐を同意してゆく

霧散する、フラグメント
融点の狭間で点、を穿つ
蠕動する点、は凝集し、繋がり
硬い皮膜に拘留された
やわらかな部位を露出する
開示された身体は隠逸のために

腕を束ねた偏平足たち
暗い池沼にひたされた足おと
泡沫の潰えた水面に
なだらかな額を投影する
月はゆらいで扇状に煌めき
分岐する白糸が露に濡れている

封じられた羽虫の触角が微動する
断たれたばかりの
白目が反照して眩しい
しずかに湾曲される関節
後ろ手に粒立った呼吸が
ひとつずつ壊死してゆく

不純な渦、体液の流れるおと
/雑/踏/。/朝/が/来る
外殻の街、中空、網状の導線が
絶縁されてゆく幻視の中で
おなじ空を見上げて
佇む、人がいる


自由詩 害虫 Copyright sample 2014-03-15 01:23:47
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