一馬の夜
吉岡ペペロ

一馬はボールを天井に放る

それを手でキャッチする

そのとき彼はピッチャーであり、バッターであり、キャッチーであり、審判であり、実況席のアナウンサーであり、試合を見つめる恋人だった

ツーダンフルベース、点差は一点、九回裏、

げふっ、一馬はカレーのげっぷを吐いた

それは試合まえ食べたカレーライスになる

ツースリー、炎天、陽炎、ぼーっとしてくる、とても静かだ、振りかぶる

ここは鳥取の夜だ

ここは彼の部屋だ

一馬はボールを天井に放る








自由詩 一馬の夜 Copyright 吉岡ペペロ 2014-03-09 09:53:41
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