東アジア
山部 佳

私はめったに外食をしない
何を食わされているか明瞭としないからだ

例えば椎茸は最悪である
ようやっと最近ではスーパーで見かけなくなったが
いつまでも裏のひだが真っ白けなんておかしくないはずがない
塗っているのだ…奴らは
怪しげな化学工場で内陸の田舎者を使って作った
ベンゼン環とヘテロ環がしこたま仕込まれた物質を

だから中産階級から誘われる飲み会はかなわん
コストメリットだけを追求するチェーン店に連れて行かれるからだ
揚げ出し豆腐か…その大豆はどこから来た?
焼き鳥か…その鶏は何を食わされて太ったのだ?
から揚げか…まさか地溝油ではないだろうな?
疑心暗鬼で食欲が失せる
むやみやたらとビールばかり飲むはめになる
それもちゃんと瓶に入った正真正銘のキリンビール
こういうチェーン店で生ビールを注文すると
トップバリュと同じ産地のやつを出すので油断はできん
子供の尻からサナダムシが出るようなところで作っているビールは飲めん

そもそも私はシナチクやキムチが大好物であった
しかし
2003年以降シナチクは口にしていない
2004年以降キムチは国産品に限っている
「年齢を考慮したらもう遅い」 という意見もあるが
そういう問題ではない
今や死語になったイデオロギーの問題である
単なる気持ちの問題なのである
もっと高尚で難しい そしてくだらない言葉で言うならば
美意識の問題である
そう
言うまでもなく私は自虐史観の虜なのである

途轍もなく広大な大地に
高粱畑を真っ赤に染めて夕陽が沈んでゆく


自由詩 東アジア Copyright 山部 佳 2014-03-07 21:18:15
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