かしこ
中山 マキ












どんなに文面を睨んでも
だれの思いも入ってこない
女子高生が好んで使う絵文字の方が
むしろ直観的で
好きなひとをおもむろに抱きしめたくなる
そんな本能を思わせて素敵

若いって特権
嫌いなひとは嫌いなまま
シャープペンの芯が水色、黄色、紫色
滅茶苦茶な日々
楽しいも悔しいもごちゃまぜ
何もないに等しいほど

それが幸せかどうかは別にしても
戻れない思いや手に入らないって言葉は
妙に優雅で
前に前に進んでいるのに
後ろをついつい振り向いてしまう
それを悪い癖と叱らないで

今に始まったことでもない
わらいごとにならない今、
花柄のワンピースを着ても
喪服を着ても
都合のいいことには忠実で
都合のわるいことは捨ててしまう
それが賢く生きる手段だなんて
やっぱり勝手過ぎるけど

生まれて来て、死ぬまであと何日
何回抱かれて、捨てられて、拾われて、
数えられないものばかり
むずかしいこと
なにひとつ分からないけれど
あなたの涙の理由なんて
野暮なことは聞かずに
その目の前にある現実逃避を
全力で肯定することはできる

逃げろ逃げろ逃げろ
それは決して敗北なんかじゃないって
万歳してあげるから
断崖絶壁でピースサインして
わたしの胸に飛び込んでおいで

たとえそこに正義がなくても
見ず知らずを犠牲にしたって
大事なものは大事だと
言いたい、思いたい
だからわたしは
いつでもわたしのままでここにいる
決めた






自由詩 かしこ Copyright 中山 マキ 2014-03-06 17:05:51
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