浮かぶ
松本 涼
何も浮かばない夜に
ヒラヒラと
僕は浮かぶ
それから宙を探って
宙に入り込み
痛がる景色を
置き去りにして
道の無い空間を
飲み込んでいる
光りのあぶく
闇の螺旋
記憶の振動
温もりのこだま
想像の現実
現実の幻想
そこに在るもの
そこに無いものたちが
膨らみ切って薄色に
やがて無色に
何も浮かばない夜に
ヒラヒラと
浮かんだ僕は
いつしか僕の
おなかの中で
眠っているのだけれど
自由詩
浮かぶ
Copyright
松本 涼
2005-01-17 22:13:41