【紫の華】 詩人サークル「群青」二月のお題「紫」への提出作品
そらの珊瑚

左腕に
浮き出た内出血の痣
八年前に受けた
ハーセプチンの点滴は
あたしの血管までもぼろぼろにして
以来 採血は
看護士泣かせの儀式となった
その痕を
老いた母は
かわいそうにと
いくども撫でた
  親より先に逝かないでね
きっと
あたし以上に
母は
あたしの死を意識したのだろう
   
おかあさん、あたし がんばったでしょう

母の呉れた
憐れみは
小春日和のまどろみのように
心地よくて
醜く咲いたこの華を
がむしゃらに咲いたこの華を
一週間もすれば散るこの華を
うっかり
愛してしまいそうになる



自由詩 【紫の華】 詩人サークル「群青」二月のお題「紫」への提出作品 Copyright そらの珊瑚 2014-02-28 08:40:00
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
「詩人サークル 群青」課題作品