名前のない僕
番田 


僕は何もない
道の縁を歩く
そこには何があるのだろうかと
コンクリートの中に存在するものを見ていた
僕は考えていた
子供の頃に見ていた夕暮れだとか
人間は死ぬのだということだとかを
タクシーの陰に隠れながら
目はせわしなく通り過ぎる人に背を向けていた
角の店でリンゴを買ったけれど
心は肥えたナシを夏の日差しの下で盗んでいた
アブリルラビーンのあれほど迷っていたチケットにも
僕は関心は今年はなかった



自由詩 名前のない僕 Copyright 番田  2014-02-24 01:38:10
notebook Home 戻る  過去 未来