小さな村のお話
そらの珊瑚

少女がしゃがみこんで
草むらを見ている

ふいに振り返り
その昔
あなたはわたしだったのと告げる

小さな瞳を通せば
草むらは森になり
水たまりは湖になり
その村の地下組織に住まう蟻は
恥ずかしがり屋の妖精の友達で
かまきりはきこりだった
ななほしてんとうは
時々のろしを上げて
巨大な黒い鳥の襲来に備える

空というものが
自分が見上げる地点から
始まっているとしたら
あの頃
わたしの空は
なんと高かったことか





自由詩 小さな村のお話 Copyright そらの珊瑚 2014-02-20 12:42:30
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