さよなら
藤原絵理子

街は華やいだイルミネーションが踊ってる
コートの襟をたてた一瞬
あたしのぬくもりのなかに
あなたの香りが溶けているのを確かめる

意地悪な冷たい風が
言わせるセリフ
「あなたじゃなきゃ だめなの…」
通り過ぎるヘッドライトに振り返る

あなたには
帰っていく場所がある
あたたかく迎えてくれる明かりがある
壊したくても壊せない大切なもの

みぞれ混じりの雨が髪をぬらす
ついさっきまで
あなたの指にからんでいたのに
今はもうひとりで生きてるふりをしている

強がりのさよなら
振り向きもせずにドアをあけて
あなたの言葉が追いかけてきてくれるのを
一瞬待ったあたしがいとおしくて

雪に変わった雨は
街を静けさで包む
あたしの足音は
響くこともなく吸い込まれた


自由詩 さよなら Copyright 藤原絵理子 2014-02-12 23:06:05
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