夢のかけら
藤原絵理子

いくつもの季節踏みしめ
過ぎゆく時を気にもせず
駆け続け ひたすらに
足元だけ見つめて

こころ揺らす野辺の花
こころ誘う憧れを
しまい込んだ小箱の
朽ちるにも気づかず

ゆく川に笹舟浮かべていた
虫を追い深い森に迷い込んだ
まわりのすべてがきらめいていた
少年の日の夏の夢
遠ざかる哀しみ抱きながら

ときおりは眠れぬ夜
扉たたく風の音
よみがえる熱い想い
暗闇に映えて

燃え残る夢のかけら
失くさぬよう拾い集め
胸の奥 青い小瓶に
灯しつづけたい

夕餉の紫煙うすく漂っていた
夕闇に蛍追いかけていた
横顔の少女にあこがれていた
少年の日の淡い夢
零れ落ちるのを眺めながら


自由詩 夢のかけら Copyright 藤原絵理子 2014-02-11 22:37:03
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