数え切れぬ孤独
ハァモニィベル

奇妙な夢だろうか

<孤独>がネット・オークションに出ていた

存外たくさん出ていたから 驚いた
街に出ればすぐ手に入るだろうに・・・そう思い
電車だって孤独のスシ詰め状態だ・・・そう思い
なのに、
<孤独>がいくつもオークションに出ていた


出品者ごとに様々な効能をうたう
たとえば、曰く、

<孤独>
防衛機能あり。孤独とは防衛なり。

フロイト氏のその出品は落札されたが
すぐに、
落札者のこんな評価

ぶ厚いオーバーコートのはずなのに、
着こむほど凍えそうじゃないですか!

同じ出品ばかりが、たくさんあった

例えばこの
ひとり、部屋で留守番する少年の
画像がポツリと貼られた、
<テレビを見るという孤独>。

あるいはこの
ひとり、アパートで横たわる老人の死骸の
画像をひっそりと省略した、
<気づかれぬという孤独>。

 ・・・・・・・・・

近年増加中の出品がまた目を蔽う。

「孤独力」と名付けた出品が、救いあり気に立ち並び
今、さかんに入札されている様子
落札者からの評価はまだない

おそらくきっと、
マスクをつけた人々のように、街に<孤独力>をつけた人々が
ぽつぽつだんだんふえて行くだろう

こんなに盛んに出品/入札されてるのだから

<友情>は無視されたまま。

友情とは

奇妙な夢だろうか





自由詩 数え切れぬ孤独 Copyright ハァモニィベル 2014-02-10 04:41:27
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