イメージ・キャラメルの日
ワタナベ

今日をキャラメルの日と制定します

晴天
ひるがえる白い洗濯物
何気ないラジオ放送から始まったキャラメルの日は
全国の老若男女を巻き込み
いまだかつてない展開をみせた
神棚には全てキャラメルが飾られ
それまで祭られていた古今東西八百万の神々は
全てテーブルの上に並べられるか
パチンコ屋で
玉なら20発
メダルなら3枚分の景品として
交換されるにいたり
キャラメルの宣伝は廃止され
キャラメールはあて先違いで送信不能
パンティストッキングはパンストと略され
作者の家の冷蔵庫はからっぽだった
体制と反体制のせめぎ合いの中
キャラメル穏健派とキャラメル過激派の抗争もへて
街のビルというビルは
キャラメル色に染められたり
そこに赤いペンキで大きく×印が落書きされたりもした
混沌とした街からは人の姿が消え
キャラメルを巡る抗争をしたり顔で分析した新聞紙が
風に巻かれ塵とともに曇天の空へ舞っていった

今俺は裾長のコートを着て
活気ある闇市を猫背で歩いている
暗い路地に延々と続く闇市では
サイコロを模したキャラメルの入った小箱が
雑然とならべられ
広東語英語その他が飛び交う
一度狂った歯車はもう元には戻らない
キャラメルを口に放り込むと
甘い
そして苦い
空は青い
それはきっとこれからも変わらない日常


自由詩 イメージ・キャラメルの日 Copyright ワタナベ 2005-01-16 01:20:16
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