月光にてらされる鼠色のわたし
窓辺の机の上で
いつものように月をうっとりと眺めていると
だんだんと月が大きくなってゆくようです
最初は夜空の真ん中に黄水晶のように透き通った月の
輪郭がしだ ....
さしこむ月明かりに
浮かび上がる
窓枠におかれた青白い手
古びたホログラムのような
その手の
輪郭が、ぶれ
はしる、ノイズ
握られたナイフの
かるい重み

ナイフは澄んだ鏡
凪い ....
今日をキャラメルの日と制定します

晴天
ひるがえる白い洗濯物
何気ないラジオ放送から始まったキャラメルの日は
全国の老若男女を巻き込み
いまだかつてない展開をみせた
神棚には全てキャラ ....
本当は存在しないもの
駄菓子の当たり
国境線
赤道


本当は存在するもの
自販機の当たり(たまに当たるんだぜ)
戦争
孤独


ほんとうはさみしいんだ
ほんとうはね
つづら坂のてっぺんが赤く燃えて
曲がり角のそれぞれに暗がりが生まれる
それがくねくねと蛇のように眼下の町へ
影法師が一組
手前の角の煙草屋の暗がりからあらわれて
穏やかな夕日にそっと目を伏せ ....
黄昏砂浜
半分埋もれた懐中時計は
壊れて逆回転をします
長針の影が伸びてきて
足元までは届かないまま
夜に溶けていきます

思い出と名のつくものは
一歩踏み出せば届きそうなところで
 ....
ノンシュガーなはずのコーヒーがやけに甘い
隣の席の黒い帽子の男が
ぼそぼそとなにかつぶやいている

路地裏から路地裏へ
狭い空がえんえんと追いかけてくる
どうやらこの街からは出られないらし ....
銀河の天秤がゆっくりと傾いて
月がかろやかに昇ってゆきます
夏の星座の中心へです

澄んだ湖面は夜空をうつし
魚が背びれに月明かりをうけて
チカリ、チカリと輝きながら泳ぎ
まるで流星のよ ....
夜の汀に
静かに打ち寄せる旋律が
月を濡らし
とびきり無垢なくらやみ
豊かな潮騒に包まれる
すべての静かなあなたたち
今はただ
波間に映りこんだ月のように
やさしく揺れて
なにも持た ....
つゆやみの夜
降りしきる蛙の鳴き声
このたくさんの鳴き声の中にも
さみしい蛙はいるのです

呼ばれているような気がして
サンダルを履いて庭に出てみると
蛙の鳴き声が辺りを包みます
白い ....
すっかり草に覆われた
ぼくらが秘密基地と呼んでいたここに
今年もまた暑い季節がきました
打ち捨てられた自転車が
見捨てられたこの場所に
あの頃のまま忘れられて

なにが秘密だったんだろう ....
高速で自転し公転する地球に
ふりおとされまいと必死にしがみついている自分だ
朝が来て昼が来て夜が来るめまぐるしい展開に
なんとかついていこうと必死で追いかけている自分だ
あっという間に0に近似 ....
美しくない夕日などあったでしょうか
山の稜線に影を落とし
上空を見上げれば
雲が山の彼方から淡い橙色に染めあげられています
山と雲の間を
黒い点のようなものが
こちら側からあちら側へ ....
鍵を見つけたよ
扉を見つけたよ
鍵穴を見つけたよ
扉を開けたよ

なんてすてきな世界!!

靴を覆い隠す
くるぶしくらいの花たちが
まるで海のように広がって
ざぶざぶと歩けば
蝶 ....
某月吉日 某所にて

異議あり、裁判長、今の発言は原告の名誉を著しく損なう発言であると思われます。
被告人には発言の撤回を要求します。

異議を認めます、被告人は口を慎むように。

では ....
松井のバットが鋭い弧を描き完璧にとらえた真ん中高めストレート
力強くどこまでも飛んでいく青い青い雲ひとつない空
見上げる僕等は有象無象の歓声の渦僕はその点景
ボールの赤い縫い目は僕等の夢白地につ ....
桜散るのは夕日の丘か
日暮れ近づく夕日の丘か
散りゆく桜は薄紅色
薄紅色の十二単
十二もまとった春の衣
一枚脱げば夏の予感


呼んでいるのは母の声か
遠い故郷の母 ....


縁側につるされた風鈴を
さやかに押すその御手
彼らは海峡をこえてゆく海鳥の
滑空する翼の先端に生まれ
たたみで昼寝をする私の
ほほをなでて死ぬ





二人 ....


わたしは部屋中の時計の針をとめました
ごめんなさい、毎日の生活に、疲れてしまったのです
今日は、朝は早く起きました、そして歯を磨きました
掃除をしました、洗濯をしました、近くの ....


夕空と海の混じり合うそのすきまに
すべり込むうみどりの影のさみしさ
赤い包みのキャンディーをポケットから取り出すと
口に入れる間もなく風景に溶ける




”ちかみちはこっ ....
さいきんなぁんもかんもわすれていきよるち
おかあちゃんがいいよった
なーなー、おかあちゃん
ぼくんことも
いつかはわすれてしまうん?

こーえん
ゆうやけこやけのあかとんぼ
うしろのし ....
傾きかけた夕日に
静かに染められていく放課後の教室
たわむれあそぶ影法師たち
その風景からひとりひとりを
輪郭にそって丁寧にきりとり
ノートに貼り付けていく

ふるえる手で
間隔が
 ....
1

正直、高校を卒業した時の成績はよくなかった
偏差値にして40前後
空を飛ぶ試験にうかるには絶望的な数字だった

なにしろそのころ
空を飛ぶための試験を通過するには
偏差値にして6 ....
指と指の間から
零れ落ちていくそれが青春だと
零れ落ちていくそれを左手ですくい
左手から零れ落ちたそれを右手でつかもうとする
もどかしさに胸をかき
からっぽであることにはたと気づく
ぬるい ....
ワタナベ(54)
タイトル カテゴリ Point 日付
イメージ・1円玉のささやき自由詩7*05/2/15 1:02
ノイズ自由詩15+*05/1/26 15:17
イメージ・キャラメルの日自由詩10*05/1/16 1:20
イメージ・地球儀自由詩8*05/1/11 2:57
つづら坂[group]自由詩18*05/1/9 20:22
懐中時計[group]自由詩13*04/10/19 8:44
無題です未詩・独白9*04/10/15 6:30
星の音楽自由詩28*04/7/8 3:55
コルトレーン 二編自由詩14*04/6/16 19:32
つゆやみの夜自由詩20*04/6/8 6:43
夏の日自由詩15*04/5/30 21:25
輝け自由詩13*04/5/28 17:58
夕日自由詩904/5/24 19:03
森園自由詩13*04/5/22 23:10
春の裁判自由詩1004/5/14 18:55
GOOD JOB!!自由詩1204/5/11 15:22
さらば 春の日自由詩11*04/5/5 20:52
自由詩8+*04/5/5 19:10
時計散文(批評 ...10*04/5/4 20:03
なないろ自由詩8*04/5/2 0:38
I'm home自由詩16*04/4/28 0:57
卒業自由詩8*04/4/26 18:43
自由をめぐる空想自由詩17*04/4/20 12:39
青春自由詩804/4/16 16:41

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