ふんわりロケット
AB(なかほど)



穏やかな顔を探しに
小春日和の古い児童科学館へ
ふうせんヒコーキを作ってみようか
と言ったのが聞こえたのか
エプロンを着た還暦過ぎのボランティアは
当店では
ふんわりロケット
と申します
とやんわり話し掛けてきて
材料の濡れ傘用の細長いPE袋と
先端や翼用の色画用紙を渡してくれた
僕が子供の頃から
ここのプラネタリウムの寝心地は格別で
夢の中では
銀河の向こうまで行けるんだよ
身体の半分が魚のままで
子犬の飼い主を探す旅に出かけたり
キツネ座も追いこして
やがて40分の夜が明けて
おはようって言ってみるのがいい
眠りにきたの?
と訊きながら息子は
小春日和の犀川の堤から
ふんわりロケットを発射する
それはあまりにもゆっくりと静か
なのだけれど



   













自由詩 ふんわりロケット Copyright AB(なかほど) 2005-01-16 00:43:14
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