K工業所
馬野ミキ

十代の頃、自分の気力で仕事を続けることが困難になり
日雇いの仕事を求め早朝の高田馬場に行き
流れでそのまま浦安のタコ部屋で半年働いた
タコ部屋と言ってもまあ綺麗な畳が敷かれた大部屋で15人位で雑魚寝
犬が居て事務のお姉さんが綺麗で屋上からデイズニーランドの花火が見えた
その頃はオナニーに困り、近くの公園の石碑の裏でコンクリートにちんこをこすりつけたりしていた
若いころ自分は、オナニーを手でしなかった
床にこすりつけていたのだ

元売れない演歌歌手だったKさんは土工としての俺を鍛えた
Jさんは自腹で俺の作業着を買ってくれたりした
時に一緒にカラオケに行き、「お前の歌には情緒がない」と言われたりした
皆、よく競馬をした
日曜には、後楽園の場外馬券売り場でよくワンカップを飲んでいた
今思えばそれは俺なりの大人の真似、底辺のロールプレイだったのだと思う
俺は何者かになりたいと思っている
それは今でも・・
ちなみに飯場で飼っていた犬は俺が看取った
よだれを沢山垂らして死んでいった。


自由詩 K工業所 Copyright 馬野ミキ 2014-01-28 05:41:08
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