最後の涙
yamadahifumi

どんな人間にも感情がある、と

果たして断言できるだろうか?

有名人を射的の的に見立てて

あるいは自分達の全てを誰か他人の責任にして

その人々をひたすらにエアガンで打っている人達

彼らの享楽的な笑顔は果たして

一つの「感情」だろうか?

最も薄情な者に限って

人前で大声で泣くのを得意とするが

その目には周囲の人々の表情を姑息にうかがおうとする

もう一つの眼が隠されている

「感情」とは一体

僕達にどんな事を意味しているだろうか?

今、君が一人で孤独に沈黙している時

たとえ、君の顔が仏頂面だとしても

僕はそこに痛切な一つの表情を見る

君を沈黙させているものが一体何か

僕は実によく知っているから

それでも、いつの日にか君は涙を流すだろう

・・・それは多分、君が死ぬ時

その時、君はしわくちゃの顔に笑顔を浮かべて

そうして最後まで人間達には見せなかった一つの涙を

はじめて僕達に見せてくれるだろう

その時、はじめて君の感情は

この世界の上にぽとりと落ちるのだ


自由詩 最後の涙 Copyright yamadahifumi 2014-01-26 09:01:03
notebook Home 戻る