銃はスカートの中
山内緋呂子
おそらく兄だ
拳銃がかくしてあった
モデルガンじゃない
重み 鈍色
ライラックピンクのスカートに押し込んだ
まずは倉庫だ
こんな時は倉庫
死ぬのか
あほか
こんなときに死んでたまるか
常に手に持っていた
あんパンと牛乳
逆だ
これじゃサツだ
自殺することは省いて
この銃で
何をするかだ
しないかだ
撫でて重みを確かめる
もう一度ライラックピンクのスカートの中に隠した
申し訳ないことをした人を想った
申し訳ないことを想った
倉庫の扉が開く
心配したのよ〜
よかった〜
何十人だ
同胞が 笑顔で迎え入れる
申し訳ないので
あんパンと牛乳を食べるかと聞いたが
そんなものはいらないそうだ
銃はスカートの中のままだ
濡れてなかった