かんきつ
そらの珊瑚
熱を帯びた扁桃を
通過する
酸味をふくんだえきたいは
ほどよく冷えて
生きていることが
すみずみまで広がっていく
――体温計の中の赤いめもりが行ったり来たり
ひとふさ
ひとふさに
大切につつまれた
完熟しているのに
どこまでいっても
あおくさい果実で
わたしの細胞の一部が
成り立っている
冬をやり過ごせば
いっせいに白い花を咲かせて
太陽と海風の
健やかな香りが
ほら
坂道を転がってゆく
自由詩
かんきつ
Copyright
そらの珊瑚
2014-01-22 08:09:42
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