病室
藤原絵理子


とりたてて喜ぶほどでもない
あたりまえのことを渇望する
今日は昨日よりも調子がいい
そんな錯覚でも気分がよくなる

まわりの誰と比べても
あたしなんて可愛いもんだ
錯覚か幻想だけでも
幸せに生きることができるんだ

なんとか誤魔化して
増殖する細胞が許してくれるなら
寝入りばなに永遠の眠りを望んだり

口に含んだキャンディを
ゆっくり味わおうとしてるのに
「噛み砕け」 と誘う声がする


自由詩 病室 Copyright 藤原絵理子 2014-01-20 22:28:36
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