赤信号
春日線香

赤信号で立ち止まったとき
うしろから歩いてきた人がすうっと追い越していって
そのままむこうへ渡ってしまった
その自然な様子に呆然とする
自分もその人と同じようにして渡ってしまいたいのに
いつ猛スピードで車が突っこんでくるかと
決心がつかなくてえんえんと行きあぐねている
その人の行く先はたぶん同じだったのに
今はもううしろ姿も見えなくなってしまった
川沿いに工事のランプが灯っていて
マンホールの下を水がゆっくり流れている
家では病気の人が待っているのに
赤信号はいつまでも変わらない
家では病気の人が待っているのに


自由詩 赤信号 Copyright 春日線香 2014-01-20 12:54:02
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