複眼
Lucy

色褪せてしまうまで
崩れ落ちるまで
見届けたかった
遠くなる影を見送り
不在を確かめたなら
踵を返し
歩きだすはずだったのに
あとからついていったのだ
見失う一歩手前の距離を保ち
二度と会わない覚悟なんかできなくて
走りだしたり
呼び掛ける度胸も無くて
見つめる程増えていく
そのどれ一つとして信じないまま
幾つもの
虚像を結んで




自由詩 複眼 Copyright Lucy 2014-01-14 19:16:09
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