ランチャーを迎え撃つ言い伝え
ゴースト(無月野青馬)

分かる人にだけは
分かる
見える人にだけは
見える
空から降る幾千の
輝く
鍵の雨
私の母も
鍵の洗礼を受け
詩を書き始めた
私も
鍵の洗礼を受けたいと思っていた
春先


それは夢でも
幻でもない
天空を貫くように
絹の帯が広がり
成人の日の通過儀礼のように
鍵が胸に入り込む
それが私達の村に残る言い伝え


創作物はいずれ燃え尽きても
もう1つの地球に生まれ落ちるから
白も黒も無い世界
透明な回帰線


去年の
7月7日
私は鍵の洗礼を受けた


白も黒も無い世界で
私が
認識出来るだろうことは
胸を透かして光る
母や親しい人の鍵の形


世界が
縮小を始めても
折れない鍵が
私達を支える
塗り替えようと
言い伝えにある白い迫撃砲を撃つ青年が鍵降りの町から来ても
私は負けない
私は挫けない
私は怠けない
渾身の創作物で
ペイントを上書きしてやる


そして
世代が循環して
いつか
もう1つの地球で
私の鍵と
出逢う新しい鍵がいたら
その人の目に留まるように
私や私の母や私の親しい人の鍵を取り置いておいて貰えるように
新世界の店員さんに頼もう






自由詩 ランチャーを迎え撃つ言い伝え Copyright ゴースト(無月野青馬) 2014-01-13 18:12:40
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