会わぬが華
Lucy

ざらざらの掌で
温められ
擦られ
撫でまわされて
摩耗した挙句
まるく つややかな光を放つ
表面に一点の翳りもない
器が
轆轤の上に
遂に生成し得たとしても
掌の持ち主の
荒れた魂とは似ても似つかぬ

歪な器であればある程
ごつごつと
ざらざらと
収まり悪く のたうち
転げ回った挙句に
奇跡のように美しい詩が
たとえ生まれたとしても
心そのものの佇まいとは
程遠い

だからその美しい詩を一遍
生み出すためになら
闇雲に
手当たり次第に
見境なく
心でもなんでも偽ったところで
何ほどの罪になるというのか




自由詩 会わぬが華 Copyright Lucy 2013-12-23 20:56:16
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