無題(生きのびる)
uri_kappa

おまえが飢で苦しむなら、私の腕を喰らうがいい
おまえが怒りで狂うなら、私の足を喰らうがいい
おまえが生きんが為にすがるなら、私の胸肉を喰らうがいい

ただ首はやめておけ
頸動脈は切るな、心臓も残しておけ
私は命が惜しいのではない
見たいのだ

おまえが飢えから満たされ
怒りから開放され
自らの足で立ち上がり
その太い骨でガッシリと踏み出す一歩を

私の体に蠢く艶々と青白く光る丸々太った蛆は気にするな
彼らは彼らのすべきことをしている
おまえはおまえのすべきことをしろ

そうさ、何時か、おまえの子が飢えに苦しんだとき
初めて私を思い出し、喜びで体が奮え
あの丸々太った蛆よりも大きくツヤツヤした涙を落とすだろう
そして飢えたおまえの子に自分の腕を差し出し
何度も何度も頷くだろう


自由詩 無題(生きのびる) Copyright uri_kappa 2013-12-20 14:01:01
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