師走の旅行
生田 稔

 
 師走の旅行

ペンを持ち富士を見むかなとかまえ座す冬の車窓にいまだし見えぬ

右手はも雲の漂う富士の山妻妹とバスはゆくゆく

昼食の弁当うまし日本晴れ空に吸い込む心の思い

峰重ぬ窓の景色は次々と合わせて動くわが心かな

すそ広く冠雪うるわし白くして大和日本の姿しうるわし

つれづれに飴菓子食めば幼き日思いでつとに懐かしきかな

隅田川その水量多きゆえ青々としてゆりかもめ泳ぐ

東京は古き都に違いなしひと大まかで数多なるゆえ

山野辺の美術館にも立ちよりてひときわ寒き風吹きており

湧玉の白きしぶきの涌く水よ流れ流れて何処へゆ行く

木漏れ日のチラチラとする道つたい大涌台に着きにたりけり


短歌  師走の旅行 Copyright 生田 稔 2013-12-17 10:29:44
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