ボーナスの日
番田
ボーナスの配られるのを見ながら
自分がアルバイトなのだと実感している
ジェームスブレイクのような
感情のない目つきをしている僕
この会社では短いが
業界では精魂尽くしてきたつもりだ
そう思うのだが
思うことのすべてが目の前でシステマチックに処理されている
ビジネスに何も感情は介在されないらしい
そんなことはないと思うのだが
誰からも声をかけられることもなく
前の女同士のヒソヒソ話を聞く
もう若くはない女同士で
子供の一人もそこに生み出されることもなく
だから僕は
今夜も夜の風俗街に赴くさ
そこで体験したことをあらいざらい一遍の詩に書くつもり
だけどポケットにはそんな余裕もなく
カマキリのような目をして
鬼気をはらんだ街をやり過ごすさ
だけどあいつはなぜ
カラオケがへたくそなのに
僕をいつもすぐにカラオケに誘うのだろう
確かに君は細かな音階は取れているけれど
何もハートを感じないような気持ちで
そんな無表情な歌を僕は聴きたくもなかった