君の歌
……とある蛙

君は最近歌を口ずさむ
歩いてきた距離は途方もなく長く、
希望を持って歩いてきたけれど
どうにもうまく行かないことが多くて
それでも前だけ向いて歩いてきた

君の歩いている道は
君が望んだ陽の当たる道
高みに登る道だと
そう勘違いしていた君は
胸を張って歩いてきたけれど
どうも陽の光が少なくて暗く
それでも顔を上げて歩いてきた

だんだん君の歩いている道は
その先が見えてきてしまって
考えてきた場所と違うところへ行くと
ようやく君は気づいてきたけれど
今さら引き返すそうにも途方もなく遠いから
勇気を持って前に向かって歩くしかなかった

今人生の終わり頃歌う君の歌は
昔、君が口ずさんだ歌と変わらない
多分それに気づく奴もいて
一緒に胸を張って歌いだす。

だからって道が変わるわけがないが、
少しでも陽が当たるよう
たとえ陽が当たらなくても
心まで暗くならないように
また顔を上げて歩いてゆく
君は君の歌を歌いながら

人生の終わり頃歌う君の歌は
昔君が口ずさんだ歌と変わらない
多分それに気づく奴もいて
一緒に胸を張って歌いだす。

気づいてみれば出発点と高さは変わらない。

歌いながら君は思うだろう

年老いて振り出しも悪くない。
って


自由詩 君の歌 Copyright ……とある蛙 2013-12-12 17:00:51
notebook Home 戻る