そらの最上階
るるりら

たぶんに、自分のせいだ。たぶん、自身が悪いのだ。
敵は 見えない敵じゃない、見えていることが敵なんだ。
聞えないことが敵じゃない、聞えていることが辛いんだ。
見えているのに 伝え方が解らないことが、苛めなんだ。

きっと 今日、十二月11日の街は、愛を謳っている。
目の見えない貴女と 路を歩いたのは昨日のこと。
だから、きっと今日の街のイルミネーションも、●だよ。
あなたが見えていた頃には きっと なかった色を
わたしは、伝えられなくて

ありとあらゆる人々が、たのしげに通り過ぎた。
あなたは よたよたと歩きながら その内側に たっぷんと汗を流して
その息は、荒い。
ときに激昂しながら、ときに瞼をとじ 巡る季節を通して
貴女が、願っていたことは 何だったのだろう。
のっぺらとした毎日。色を、そして必要なことすら 伝えられない毎日。
日々毎日 昨日、今日。うしなわれていく音。



が、が、が、がしかし、が、しかし リターンリターン が、しかし
まっしろい 無数の濁点。ががががが きっと天の一番高いところから
降っている。白い濁点に、世界が覆われてゆく
高速で 降り積もる白い濁点が、たった1点から無数に湧くように生まれ
バームクーヘンのような 幾重にも層をつくりながら 降りている



見えない貴女にも きっと見えている。
初めての白い濁点が降っている。はじめて見る 既視感。

いま、たった今 
まっしろい濁点が、 世界を
変えている。









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初出「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)に
投稿させていただいたもの

タイトルは かんなさんです。


自由詩 そらの最上階 Copyright るるりら 2013-12-11 11:10:26
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