醤油と批評
左屋百色

無題の書をひらき
ドアを叩く
誰もいないから
自分にだけわかる詩をかいたけれど
もはや自分でもわからない
こんな日は
君の詩をよみたい
技巧派がつくりだした行間で道に迷い
言葉の枝を捨てに森へ向かう
すると予感通り
真夜中に森が分裂してゆく
冬の前半でもう既に惨敗
君の詩が理解できないまま
胸に響く不思議を
君に伝えたいのに
時間と空白は加速する

知らない言葉を先物取り引き
現代詩の筆頭株主
短歌と俳句と川柳を経由して
散文の入口に佇む言葉たち
夕陽が歪む街角に消えてゆく
無題の書が燃えている
豆腐の角で君に出会ったら
醤油と批評をお願いします



自由詩 醤油と批評 Copyright 左屋百色 2013-12-02 20:11:08
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