車窓から見える赤い風船は、まるで祝福のしるしみたいに
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たやすく割れてしまうのに
壊れてしまうのに
やわらかく、脆い目で手を伸ばし

薄く平滑な胸が空気でいっぱいになると
子どものつまさきは
もうすでに、地を離れている

街が息継ぎを忘れていないふりをして
公園、と不似合いな呼称の付いた土地と
遊具と空は分かり合えないまま

それでも人の影が笑っているように
揺れて、消えて、暮れるのは
まだ空白の日記に触れられない体があるから

僕を本当に、遠くへ連れて行ったのは
ありふれた風景と
写真に残すまでもなかった
きおく

帰る場所があるのだろう
過密な街から逃れてゆく鳥たち
ひどく眩しいのは、なぜだったの



即興ゴルコンダ(仮)2013/12/02


自由詩 車窓から見える赤い風船は、まるで祝福のしるしみたいに Copyright sample 2013-12-02 18:55:21
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