初雪
そらの珊瑚

その肩に
いつも少年は
かなへびをのせていたので
私はそれが作り物だと思っていた
見慣れてしまうと
日常は背景になるので
誰もそれを指差したりはしなかった
私を見ても
誰も指差したりしないように

友達 死んだ

少年はつぶやいた
息が白く凍って
きらきらと空へ昇ってゆく朝
指差すほうから
雪が降りてくる
あれ なに?
少年は疑問符を覚えたが
相変わらず
言葉と言葉のすきまを
埋めようとはしない
それは砂場に落ちた砂粒のひとつのように
連結されないまま背景になった
肩もまた繋ぎ目であるし
形状は緩やかな斜面なので
何かをのせるにしては安定感は悪いけれど
なぜか雪はそこにのりたがる
きっと居場所というものは
そういうものなんだろう

さびれた公園は
駅への抜け道になっていて
冬支度の人々が
早足で歩いていく
どの肩も丸みを帯びて
かなへびほどの軽さ分
右へ左へ傾いている
近道でうかせた
ほんのわすかな時間で
つりあいをとるのだろう
本物と作り物の間で





自由詩 初雪 Copyright そらの珊瑚 2013-12-01 13:25:53
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