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葉leaf

今日も僕はお金で孤独を買う 旅費を払って一人旅 他人に与えていた心身の隙間を 旅先の風光がかわりに埋める 本を買って一人で読書 まっさらな自分に活字の苗を植えていく お金で連帯も買えるけれど 連帯は自分の努力で無料で得たいから こんなにも取り囲まれた自分を連れ出すためにお金を使う

木を植えるためには 土を掘らなければならない 苗を運ばなければならない 肥料を混ぜなければならない 苗を固定しなければならない 具体的で肉体的な沢山の働きと技がなければならない そして植えられた木も 育つには時間の夥しい堆積を待たなければならない 風と日と水と土がなければならない

遠くを走る車の音や遥か上空を飛ぶ飛行機 いつもは隠されている離れたものが 途端に肌に熱く触れるような時がある 問いを発するのでも答えを返すのでもなく 単純に変化していくことへの感嘆のような 遠い物音に捕えられると 僕の生きていく物音が反射する体も どこまでも遠く広がっていくようだ

心の中に沢山実った果実を落とし 失語的な朝を迎える なるほど話の種はあるし 会いたい人もいる だが表現と倫理の回路がどこかで切れてしまって 失語的な目で近いものだけを見る 事故でもなんでもなくとても自然に砂漠はおとずれ 失語的な体で手に届くものや匂いの嗅げるものだけを求めている


自由詩 twitter Copyright 葉leaf 2013-11-28 06:41:21
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