露光線
hatena

灰色の水晶の夜。空から降り雪ぎ始める蒼い光線。中空で金色の風を纏って、低空の海へ今、
音もなく落ち続ける。完全に凍りついた街で、見渡すことの出来る全ての白が、燃え上がっ
て、高みから、月の波の光が降ってきて、全ての景色を消滅させる。何もない部屋で、僕は、
蒼白い紙の上に、ペンを走らせているよ、明朝体を落とせば、凍り付いた窓の外、風景が立
ち現われる、未到の雪は浸った灰色、空に浮いた太陽は薔薇の色、街を流る河は蒼くて濁り、
空を走る鳥は灰の透き間を落ちていく、風が氷を持ち上げて大地に放っていく、碧落の洪水。
黄金の雪崩が、永遠の空から五月雨る。切り傷だらけの身体の、綺麗な指先で、白紙に弧を
正確に画けば。吹雪きの街も、今に私のものだろう。


自由詩 露光線 Copyright hatena 2013-11-25 01:50:42
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