情熱
由木名緒美
両の眼の平行線が二人を射抜き 行きつ戻りつ
熱を持った細胞が身体を離れて蒸留する
新たに生まれる神秘性を持つ、そのものは幽かな産声をあげる
どちらの魂に矢を射るのか
射られた体はいつか捨てられ
身を失った蛹のように からからと宙に舞う
熱に包まれた その先に待つ楽園
罪に熟す前のりんごを頬張る
愛するがゆえの消失
その最期を見取るは美しきワルツ
踊るように尾をはためかせ 消え失せるのだろう
自由詩
情熱
Copyright
由木名緒美
2013-11-24 23:54:23