檸檬
平井容子

不安なひとよ

柄に
アルミホイルを巻くのを
忘れないで
なまぐさい身は
ひとり青く
ナイフでこそげるには
やらわかいから


(らん反射してた
     たしか、
       あれはばかにしていた
           鳥の名まえも
             知らない
              わたし

 表皮、真皮、脂肪とはねて
 ちりばめられた茜いろの
  
  

音楽室で
はじめて聞いた
斜陽ってひびきが
なんだかすさまじかったから

 済んでしまったとは言えない、二度と)

どのまちかども
ぬぐえない水をひっかけて
家路をいそぐのは
もう
わたしじゃなかった




自由詩 檸檬 Copyright 平井容子 2013-11-24 00:37:16
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