葬式
……とある蛙

表情の少ない
甥と姪が泣いている
眼を腫らしてはにかんでいる

泣くことなど想像もつかなかった
山男の義兄が
もう少し生きて欲しかったと泣いている

葬儀の場は
涙の大きなプールで
葬儀が泣くものだと
今まで何十回も他の葬式に参列しながら
今の今まで気がつかなかった


泣いている人たちが空々しかった
仕方なく泣いている人たちだと思っていた。

坊主は泣かない。
だが、坊主も生前の姉を
よく知る坊主だった

なんだか分からないが
くだらないことはやめようと思った。

でも、姉の顔を見ると泣けてきた
泣くのをやめようとしたが、
泣けてきた。
体裁だとか
気丈だとか
この場に形が不要なことを知った。

泣けない奴は泣かなくて良いが
泣きたい奴は泣けばよい。

しょうがないのだ、この場所は


自由詩 葬式 Copyright ……とある蛙 2013-11-19 16:26:39
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