あの街へかえろう
梅昆布茶
ちょっと薄汚れて古い街だが愛着もある
あの街へかえろう
鑑別所から卓也もかえってきたし
住むところとこれからの仕事をなんとかしないとならない
さんざん迷惑をかけたその当事者が俺だなんて
気もつかずに他人事のようにきいていたさ
馬鹿が百年たって治るものなら
それまで長生きしようとも思ったぐらいだ
いきがって世の中が渡れるならそれもいいだろう
たぶん俺はえらばない
だってもうちょっとは利口になれたらいいと思っているんだ
ひとと渡り合おうとかはもうおもわないし
ひとを傷つけるのもいやだ
美辞麗句なんてはじめからいらないさ
俺のあたまでわかる一言がほしかっただけ
チンピラだって多少の恩儀は感じるもの
ただやさぐれてはいないさ
あの街が俺をまっててくれるかどうかはわからない
まあ口の悪くて気の置けない仲間がいることは確かだ
まあいいさそれは前置きで
でもこの後を描くとたぶん冗長すぎて顰蹙をかうので
予想通りに割愛する
最後にひとこと
もう俺は戦いをえらばない
馬鹿なりに思っているんだ
限りない包摂を
おふくろあんまり心配スンナよな
俺はこんなもんではくたばらないから