空と海のように
ただのみきや

空想の翼と妄想の足枷
境はあっても壁はない
空と海のように

神学と罪状を彫刻された
流木は風と潮に運ばれる
翼もなければ鰭もない

時折 鳥が降りて来て憩い
流木の節くれだった目を突いては
物悲しく歌ったりもする

また時折 海の底から怨霊が
回想まみれの手を延ばす
底知れぬ悔恨へ沈めようとして

だが流木は空を抱いて海を背負ったまま
ままならない旅を続けるだけ
波に揺られて寝返り一つ

見えるものがガラリと変わる
だが己は変わらない
そして世界も変わらない

いつか遭難者が現れて
しっかりと抱きしめられる時
澄ます耳や撫ぜる手があるだろうか

希望の灯と願望の目隠し
境はあっても壁はない
空と海のように


      《2013年11月3日》





自由詩 空と海のように Copyright ただのみきや 2013-11-03 22:07:32
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