葡萄酒
そらの珊瑚

土踏まずの深い足裏で
たわわに熟した葡萄を踏みつぶす
たちどころに
赤紫の液体が
たがで締められた
大きなたらいの中でほとばしる
秋の森は
少年と少女の息遣いで色づき
どこか秘密めいた笑い声でさざめいた

やがて
いくつもの気泡は消え失せて
芳しく発酵したころ
――飲み干せば
初恋だったと気づくでしょう




自由詩 葡萄酒 Copyright そらの珊瑚 2013-11-01 12:17:59
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