キャバ嬢Aの一日
月形半分子

『キャバ嬢Aの一日』は絵本の題名です
幼稚園で先生が
煙草臭い息で、よく読んでくれたものでした

(そうそう、親指姫が好きだったあの子
今ごろどうしているかしら)


今日もどこかでシンデレラは、ガラスの靴を待ちぼうけ
きっと、どこかの白雪姫は、毒りんごの前でコルセットを気にしてる

(そうそう、親指姫が大好きなあの子
あの頃どうしていたかしら)


将来何になりたいの?
大人の言葉が寒空に消えていくのをまっては
『キャバ嬢Aの一日』 を読んでと
私たちみんなが先生にせがむものだから
親指姫が好きだったあの子は
いつもお砂場でひとりきり泣きくれて
かぐや姫の大好きなおねえさまは
とっくに幼稚園をご卒業


だから私たちはごきげんようといったのよ

『キャバ嬢Aの一日』の、素敵なご本は胸に抱いたまま





自由詩 キャバ嬢Aの一日 Copyright 月形半分子 2013-10-31 23:58:48
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