板チョコの歯
番田 


街は誰もいなくなった
黒く消えた雨の中で見る 街の中
僕はいつも現れた
僕は どこにいるのか 何もわからない 


滴のどこに僕がいる
空を 広く見上げるカラスは 水色だ
地面の中に 青く 集まるものたちは 
愛想笑いのような青さをしている 


いつも考えている そんなことを
ときどき時給についての詩を書く 眠りながらも
時給が自分に ないことを 思う 
支払われるのは儲からないだけの時給だ
多くの人たちが 稼ぎ 通り過ぎる
叩かれる駅前のドラムで立ち止まるとき
広場がいつも響く 五反田だった
難のある人のいる危険な空だった


歩いていた ただ 僕は この地面を
ただその顔のあるものへと傘だけ差して
雨の日は奪う 顔から 記憶さえも
奪われるだろう 今日はそんな気がする


かみ砕いている手のチョコレート
ピーナッツバターを手の無職がなめた 
そんなあの頃を 顔は 思い出している いつも
手でこの胃をおかしくしていた



自由詩 板チョコの歯 Copyright 番田  2013-10-30 01:45:01
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