クリンリネス
平井容子

身体のうちで
いちばんきれいな皮ふのところを選んで
跳ねる、つぶてが
こぉんと、宵へ落ちていった

眠っていたのかそうでないのかわからない
果たしていつのまにか
まるですっきりと目覚めるように
「このまま」をただあきらめるのか
そうでないのかわからない

すすんでいくこと、涙

とけいは
一度狂い始めるともうだめ
とぬるい海底でくじらがあざ笑う
もうだめ
ならば
息ができなくなったあと
またここにそっと
上がっておいで
そう言って手を離した

ああただぶつかりつづけるだけの紺ぺきだ

すべてがこんなに遠いのに
べつにぜんぜん
きれいな朝焼けじゃなかった




自由詩 クリンリネス Copyright 平井容子 2013-10-24 12:30:34
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