みみたぶ
そらの珊瑚

みみたぶは
いつも冷えている
熱い鍋肌にうっかり触ってしまった
わたしの指を冷やすために
みみたぶは
きっと知っている
それがうっかりではなくて
わざと、であったかもしれないことを
知っていて知らんぷりをしている
みみ の たぶ
時々耳の蓋にもなるから便利なんだ
ひとこま は ひと の こま
一日一回
人が回す こま の事
時間は見えないけれどひとこまは見える

みみたぶは
ピアスの穴を開ける誘惑にもなびかずに
どこもかしこも
固く
ささくれだっていく世界で
生まれた当時の
やわらかさを保ち続けながら

秋の入り口で
みみたぶを
のばしてみる
かすかに
未来の音が聴こえます



自由詩 みみたぶ Copyright そらの珊瑚 2013-10-23 09:08:18
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