かたらない日
遙洋


かたりすぎると
ながれさってしまいそうだ
ことばとともに、かれらの年月が

日々のなにもかもを
あるきまわっているうちに
はなし尽くして

でもまだ、はなしていないことがあるかもしれない
いずれ海につながっているこの
水路をみおろせば
だれのともしれない水が
ただ満ちている
ここへはなてば同じように
だれのともしれない物語とまざりながらいつか
海になってしまうのか

かれらの物語もまた水のようなもの
そうだ
けれどなぜだかそれが信じがたい
だから今日はもうこれ以上
かたらないことにしよう



自由詩 かたらない日 Copyright 遙洋 2013-10-20 23:42:49
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