碧の石
ただのみきや


意味や価値より

自分を大切にしていたころ

長すぎる午後に拾い上げた

石は碧を宿したまま

冷たく掌でひろがり

静寂の質量を教えてくれた



いま閉鎖された細胞の墓場で

幽霊は一人芝居を続けている

独白の一つ一つが呼吸を止めて行く

意思は像を失った

湖は指の間からこぼれ落ち

寂寥の啜り泣きだけが耳飾りの碧







自由詩 碧の石 Copyright ただのみきや 2013-10-20 23:04:48
notebook Home 戻る