私の赤
nonya


赤が
私の内側を流れる赤が
情動をまとった哀しみと孤独が
今日も私の全体に行き亘る

赤は
私の内側を流れる赤は

などと

恰好つけて書いてはみるものの
詩人と呼ばれたい私は
詩になりたい私の赤は
夜ごと愚にもつかない独白を
繰り返すばかりだ

たとえば


  少し疲れていたのかもしれない
  気がつくと日記を書いていた
  誰が読んでも分かる言葉で
  常套句をふんだんに使って
  こんなものを書いてはいけない
  アーティストを名乗るなら
  簡単には読ませてはいけない
  ただの馬鹿だと思わせてはいけない


嫌になる

意識の翼を折り畳んで
すべてのベクトルを外側に向けて
内側のことは内側に任せて
愉快と安堵を探す旅に出たい
多くの人がそうやっているように

それでも

私の真ん中で日々湧きだす答えは
右手の指先に次々と送り込まれ
私はそれを文字にしようとする

嫌らしいくらい捩じ曲がって
笑っちゃうくらい勿体ぶって
私の赤は詩になろうとする

まったく

煩わしくて仕方がないけれど
私の赤は私の一部どころか
私の全部かもしれないから
お付き合いしないわけにもいかない

ほら

私の赤がソネットみたいに
身をくねらせ始めた

嫌になる

と言いながら
私の指先もキーボードの上で
身悶えし始めている




自由詩 私の赤 Copyright nonya 2013-10-19 13:17:08
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