私の赤
nonya
赤が
私の内側を流れる赤が
情動をまとった哀しみと孤独が
今日も私の全体に行き亘る
赤は
私の内側を流れる赤は
などと
恰好つけて書いてはみるものの
詩人と呼ばれたい私は
詩になりたい私の赤は
夜ごと愚にもつかない独白を
繰り返すばかりだ
たとえば
少し疲れていたのかもしれない
気がつくと日記を書いていた
誰が読んでも分かる言葉で
常套句をふんだんに使って
こんなものを書いてはいけない
アーティストを名乗るなら
簡単には読ませてはいけない
ただの馬鹿だと思わせてはいけない
嫌になる
意識の翼を折り畳んで
すべてのベクトルを外側に向けて
内側のことは内側に任せて
愉快と安堵を探す旅に出たい
多くの人がそうやっているように
それでも
私の真ん中で日々湧きだす答えは
右手の指先に次々と送り込まれ
私はそれを文字にしようとする
嫌らしいくらい捩じ曲がって
笑っちゃうくらい勿体ぶって
私の赤は詩になろうとする
まったく
煩わしくて仕方がないけれど
私の赤は私の一部どころか
私の全部かもしれないから
お付き合いしないわけにもいかない
ほら
私の赤がソネットみたいに
身をくねらせ始めた
嫌になる
と言いながら
私の指先もキーボードの上で
身悶えし始めている