きこえない、ふり
伊織

世界が僕を閉じるから
僕から
世界を閉じた

空より降る縦線
時計の動く気配すら
奪われた

沸いた湯が白い粒になって広がっていく
見ていた
見ていた
ああ
全部満たしてしまえ

 泡になって消えていくときの、
 ごぼごぼとした

ドアが叩かれた
さほど高くない位置
知ってる
けど
知らない
やがて止んだ

確かなもの
言葉以外
携えて
そちらから
迎えに来い







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初出 2013/10/02
「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)
http://anapai.com/CGI/cbbs/cbbs.cgi

お題はかいぶつさんです。


自由詩 きこえない、ふり Copyright 伊織 2013-10-18 22:44:28
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